「ニュースを見て、いてもたってもいられなくなった——。」

2月12日、北九州市・折尾の堀川沿いに最後まで残っていた3棟の飲食店の解体工事が始まりました。

かつて30軒ほどの店が軒を連ねていたこのエリアも、ついにその姿を消そうとしています。

折尾の再開発が進む中で、最後の灯火ともいえるこの場所に足を運んできました。

テレQ(TVQ九州放送):北九州市折尾の堀川沿いに残された飲食店 きょう解体が始まる

消えゆく風景、残る記憶

2006年から進められてきたJR折尾駅を中心とする再開発事業。約17ヘクタールのエリアに北九州市が総額246億円を投じ、新たなまちづくりが進められています。その一環として、堀川沿いに残されていた3棟の建物の解体が始まりました。特にそのうち2棟は所有者不明のまま、長らく取り壊しが進んでいなかった場所。

かつて、この場所には30軒ほどの飲食店が並び、折尾駅を利用する人々や地元の常連客でにぎわっていました。昭和の香りが漂う店々が並ぶ姿は、まるで映画のワンシーンのよう。それも70年という時を経て、火災の懸念や老朽化の問題が指摘されるようになり、ついに取り壊しの時を迎えました。

「ここで飲んだ帰りに、仲間と語り合った夜が懐かしい。」 「家族でよく通ったあの店も、もうないんだね……。」

解体作業を見つめる人々の表情には、寂しさとともに、消えゆく風景への惜別の思いがにじみます。

跡地はどう変わる?

解体後の跡地には、新たな商業施設や住宅地が計画されています。これにより、折尾は「住みやすく、にぎわいのある街」へと変わることを目指しています。

北九州市折尾総合整備事務所の田口智康整備課長は、 「住みやすくて、にぎわいのある魅力的な街になってほしい」とコメント。

確かに、新たなまちづくりによって折尾は大きく変貌し、より暮らしやすい環境になっていくことでしょう。しかし、その一方で、長年にわたり地域に根付いてきた風景が失われることに寂しさを感じる人も少なくありません。

変わる街と、消えない記憶

「まちは変わる。でも、記憶は消えない。」

解体される建物の前で写真を撮る人や、じっと工事の様子を見つめる人。折尾の再開発は、新しい未来を築く一方で、かつての景色が失われていく瞬間でもあります。

私たちは、この変化をどう受け止め、どのように地域の記憶を未来へつないでいくのでしょうか。

あなたにとって、折尾・堀川沿いの思い出はどんなものですか? 

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