行きたい街・住みたい街をテーマに街の魅力を紹介する「iko-sumo.jp」。今回は、ここ北九州で創立100年以上、誰もが知るTOTOの一般向け見学施設、TOTOミュージアムをご紹介します。大人から子供まで、社会科見学の気持ちで楽しめるスポットです。

小倉駅から車で約10分。国道3号線から見える、広々とした緑の敷地の中の象徴的な建物

宇宙船のような、豪華客船のような、真っ白で曲線の美しさを感じます。北九州市内に住む方なら、一度は目にしたことがある方も多いはず。

「TOTOミュージアム」は、2017年のTOTO創立100周年記念事業として、2015年に開設。創業の精神やものづくりへの想いとともに、新しい生活文化を創造してきた歴史と進化を紹介する施設です。(旧:TOTO歴史資料館)

建物内も真っ白で広々とした空間

1階がショールーム、2階がミュージアム

正面入口から、少し緊張しながら入場。1・2階どちらも開館時間内には自由に見学できます。

※工場見学は3ヶ月前〜2週間前迄の要予約

TOTOミュージアムとTOTO小倉第一工場とのセット見学も可能で、製造工程を見られるそうです。電話にて工場見学申込窓口にご連絡を。1名〜の申込みも対応いただけるようです。

1階ロビーには、東京2020オリンピックのエンブレムをデザインした野老朝雄さんとコラボレーションしたトイレが展示されていました。個人的にも、2020オリンピックの組市松紋デザインのファンで、グッズを集めていたりするので、このお出迎えは感動!

時間がある方は、音声ガイド付き見学がおすすめです

館内では音声ガイドペンの貸し出しが行われています。日本語、子供向け、英語、中国語、韓国語と、選択でき、海外からのお客様にも対応。2階の受付で借りられます。さらりと見学だけしたい方は、受付無しでそのまま進んでもOKです。

いよいよ本題。2階ミュージアム、まずは第1展示室の見学です。

エスカレーターを上がっての第一印象は、広ーい!明るい光が差し込み、ドーム型の天井や、ところどころの館内サインには、水滴を思わせるデザインが施され、テーマに沿った美しい展示のレイアウト。まさに博物館そのものでした。勉強不足の私は、会社敷地内にあるちょっとした資料館くらいなものなのかな?と思っていたことが恥ずかしくなってしまいました。さすが誇り高き100年企業、とても見事な施設でした。

この日は、平日のお昼過ぎでしたが、留学生のような方や、大学生のグループ、高齢の御夫婦など様々な方が来館されていました。観光地としても人気です。

受付を済ませ、マップを手に見学スタート。展示物の前で数字をタッチすれば、自分の見学のペースでガイドを受けることができ、しっかり学ぶことができます。

★標準コース見学時間の目安は60〜70分。

★見どころコース見学時間は40〜45分(マップの中、黄色の◯のみ)

歴史的価値を遺産として認定されている象徴的な製品の展示

まず目に入ってきたのは、1927年に商品化された日本発の腰掛け式トイレ。木製の蓋と座面は、高級なトイレとして帝国議会議事堂(現:国会議事堂)など、日本を代表する著名な建物に設置されていたそうです。

会社の歴史、現TOTOに至るまでを1876年から辿る年表を読みながら、続いて気になったのはこちら。

こちらはTOTOのルーツの日本陶器合名会社の時代に陶器を焼いていたという第1号窯の模型。中に見えるのは、さやと呼ばれる筒状のもので、そこに食器の素地を入れ焼かれていたそうです。2階建てになっていて、こちらは10分の1の模型とのこと。

緻密な模型は、窯の外側も丁寧に作られていて外窓から覗くと人の姿も見えたり。博物館に行く楽しみのひとつに、ジオラマを見つめることがある気がします。子供にもわかりやすく、熱心に見てしまいそうですね。

種類豊富で色鮮やかな洋食器の展示に驚き

こちらも存じ上げ無かったのですが、今のTOTOになる前身に、イギリスやアメリカへの輸出向け洋食器の生産が行われていたそうです。もちろん国内で販売されていたものもあるようですが、グループ会社には、同じく小倉北区に営業所のあるノリタケカンパニーリミテドの名前が。この有名企業の2つは、元々のルーツは同じで、分社化しているとのことでした。北九州市民でありながら、ここでもまた勉強になりました。

こちらは1970年代までに製造された洋食器が美しく並ぶコーナー。輸出向けという事もあり、古い時代になればなるほど繊細な装飾のティーセット、またケーキ皿やパン皿などがあり、美術品として見て楽しめます。

次にTOTOといえば、家の中にある水まわりの品々ですよね。衛生陶器ことトイレの企画・開発から、製造、包装に至るまで、TOTO製品がどのように作られているのかを紹介しています。展示内容はぜひミュージアムで体感していただきたいので、詳細は省きます。ちなみに、映像資料コーナーの椅子がトイレのかたちになっていたりと細かなところにまで来館者を楽しませてくれる工夫がされています。

続いて、第2展示室

こちらからは衛生陶器の歴史にじっくりと触れられます。会社のDNAである創業者の紹介や創業当時の資料などがぎっしり。TOTOに受け継がれるものづくりへの熱い想いが紹介されていて、こちらも見応え充分です。

順路には時代とともに変化してきた水まわりの歴史を追っています。このコーナーこそ、社会科見学感を味わえます。

ところどころに、当時のトイレ空間をまるごと再現されていて、昔の漫画で見かけたことのあるような、田舎に住む親戚の家を思い出すような展示でした。

中でも目に留まったのはこちら。明治の半ばごろに生産されていた染付の陶で作られたもので、TOTO製品ではないですが、外側にも内側にも入った手書きの絵柄は芸術的で見惚れていました。日本人の美意識を感じます。もちろん、便器をこんなに長い時間見つめてしまうのは初めての経験です。

続いては戦後とともに生活の移り変わりによる衛生陶器の進化をカテゴリーごとに見学。このエリアはご覧の通り、給水タンク付きトイレの発展が展示されています。

同じく、洗浄水量のコーナー、ウォッシュレットのコーナー、小便器だけのコーナー、浴槽のコーナーに洗面器、水栓金具にキッチンなど、写真のようにすべて現物が進化とともにずらりと展示されていました。

どんどん改良されていく様を細部まで見ることもできますし、さらりの見るだけにしても、展示物のボリュームに圧巻です。

特に化粧洗面台には興味津々でした。ビビットな色合いも珍しく、ミニチュアで集めたくなるくらいにかわいらしく、乙女心をくすぐります。TOTO製品のカプセルトイとかあったらいいのにな、なんて。

こちらは、1974年に改修された迎賓館赤坂離宮に設置されたもの。国賓の宿泊や外交活動の舞台としてふさわしい場として、全ての設備にTOTO製品が使われたそうです。

木製のカバーを付けたりと、歴史ある洋館の建物に合わせた仕様になっています。

衛生的問題をさて置けば、デザインとして現代の住宅にもマッチしそうなほど洗練されている気がします。

第2展示室の最後には、便器に座ってみる体験コーナーがありました。

スマートフォンを立てられる撮影台が設置されていましたので、どうやら写真スポットのようです。ぜひ記念に1枚いかがでしょう。

続いて、第3展示室

ここからはグローバルギャラリーとして、アメリカ、中国、アジア、オセアニア、欧州で販売している商品がエリア別に展示されています。

こちらは世界統一モデル。”まるで卵型のオブジェのよう”と称されるだけあって、芸術品のようでした。陶器の持つ美しさを最大限に引き出した優美な曲線によって形づくられ、これぞ未来のトイレですね。

以上が、第1から第3までの展示室のご紹介です。いかがでしたか?

会社の成り立ちから、時代背景とともに変化した生活様式、そこに注がれた技術革新を存分に知ることができます。北九州と言えば、ものづくりの街。北九州に住む者として、世界に誇る地元企業の一端をほんの少し人に話せそうです。

最後にミュージアムショップでお買いもの

TOTOミュージアムオリジナルグッズや、地元企業とのコラボ商品などユニークなものがたくさん販売されています。

こちら、発売と同時に話題になった「トイレットショコラ」もありました!3/31までの期間限定発売のようなので、気になる方はお早めに。北九州でお土産の代表となりつつあるネジチョコはご存知ですよね?そのネジチョコを手がけるグランダジュールが企画したコラボ商品です。

トイレットショコラ:5個入り756円(税込)

トイレ型の箱の蓋を開けると、中にはトイレ型のチョコレート。これはこれは、よく出来ていて、それでいてかわいい。タンクの形まで精巧に模られていて、フォルムが美しい。ここにまで、ものづくりの情熱を感じられるとは、流石です。

大事に大事にひとかじりすると、程よいかたさでとろける口どけ。味も上品で美味しい!

技術と美学が詰まった見た目とおいしさで、お土産にぴったりではないでしょうか。

他にもトイレをテーマにした川柳が印刷されたトイレットペーパーや、ペーパークラフトの模型、北九州ブランドの商品なども多数販売されていました。ミュージアムを見学せずとも、ショップだけの利用も可能なので、北九州土産のレパートリーに少々お困りの方、話題になること間違いなしです。

気軽に行ける観光スポット、または社会科見学気分を味わえる場所として、ぜひ、おひとりでもお子様とご一緒にでも、おでかけしてみませんか?

 

その他、「行こう住もう」による北九州の小倉エリア情報もチェックしておこう。