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[北九州のひと]ギラヴァンツ北九州にみる北九州愛:横手敏夫さん

今回は特別なご縁により、プロサッカークラブ「ギラヴァンツ北九州」の前社長であり現相談役の横手敏夫さんにお話を伺うことが出来ました!

他では聞くことが出来ない
ギラヴァンツ誕生秘話が満載

プロチームを創設し運営し支持を得るということはどういうことか、他では聞くことが出来ない、ギラヴァンツ誕生秘話が赤裸々に語られています!そして何といっても、人一倍な地元愛を感じることが出来ます。ギラヴァンツファンの方も、サッカーファンの方も、そうでない方も、これさえ読めば一気にファンになることうけあいです!

知られざるギラヴァンツ北九州創生時代

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iko-sumo編集部(以下:iko-sumo):今日は貴重なお時間ありがとうございます!
早速ですが、社長に就任されるまでのいきさつをお話し頂けますか?そもそも、プロサッカーチームの社長って、どうやったらなれるんですか?

 
横手敏夫さん(以下:横手さん):2007年に北橋市長(現北九州市長)を中心に、経済界、サッカー協会、商工会議所、市役所からプロサッカーチームをつくる構想が上りました。北九州には、もともと三菱化学黒崎サッカー部を母体としたNPO法人が運営する「ニューウェーブ北九州」というサッカーチームがありましたが、株式会社化しないとJリーグには入ることが出来ないことが分かったそうです。

実は2回もお断りしていた!

私はもともとサッカーとは全く関係のない会社に勤めていました。2008年に定年退職した後、北九州の商工会議所さんから声をかけていただいたことがきっかけです。株式会社化したので社長が必要になりました、と。ですが、私自身サッカーの経験はありませんし、前職はBtoBの企業でしたし、何より社長として経営をした経験もありませんでしたので、実は2回もお断りしたんです。
 
iko-sumo:ええ?本当ですか?
 
横手さん:ところが、「ニューウェーブ北九州」の立ち上げの頃からの原動力であった原さん(現ギラヴァンツ北九州社長)にお会いする機会があり、それまでのいきさつを聞いて考えが変わりました。

地元のために何かがしたいという思い

原さんという方は福岡県粕屋郡の出身で、中学校の教師をする傍らサッカーの指導をしていました。北九州市に赴任した後、サッカーを通じて北九州を盛り上げるシンボルを作る必要を感じ、教師の職を辞してニューウェーブ北九州の運営に専念していたそうです。奥様もご自分の仕事を辞めて、選手の寮のまかないをしていたそうです。北九州出身でないのに北九州のためにそこまでする人がいるんだ、と思うと、ここで一肌脱がなきゃ男じゃないと思いましたね。私は純粋な北九州っこなので、地元のために何かがしたいという思いはありましたから。

家族からは反対されましたよ。我が家は民主制なので多数決で否決されました(笑)福岡にいる娘からは、福岡のチームでも上位に入るのが難しいのに、北九州でこれからチームを立ち上げるなんて上手くいくのかなと。

けれども、原さんとの出会いがきっかけで、第二の人生でもう一花咲かせたいという気持ちになり、社長をお引き受けすることにしました。 

赤裸々に語る、社長のお仕事

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iko-sumo:ものすごく熱いお話しですね!いきなり感動してしまいました…。ところで、社長に就任されて、何から始められたのですか??
 
横手さん:当時はJFL(日本フットボールリーグ)でしたから、J2に昇格するための取り組みを行いました。

Jリーグの規程で、昇格するための条件が3つあったのです。

①株式会社化すること
②広告スポンサーを1億円取得すること(前年実績は3,000万円程度)
③入場者数を1試合平均3,000人以上にすること(前年実績は1,150人程度)
④チーム成績が4位以内になること

このうち、②についてはスポンサー探しの日々でした。北九州市内、福岡、それと毎月東京へも行きましたよ。ただ、ちょうどリーマンショック直後だったので、地元の大手企業といえど小額しか提供してもらえませんでした。だから、「胸スポンサー」が無かったんですよ。これはチームの士気にも影響しましたね。地元企業が応援してくれない、ということですから。仕方がないから「Kitakyushu」と入れていました。なんとか東京でもスポンサーを見つけて資金を調達しましたよ。

当時は鞄にいつも実印と印鑑証明書を
入れてましてね

銀行を回って資金繰りの日々でした。金利がもったいないので、収入があればすぐに返済、そしてまた新たな借り入れをするという感じです。サッカーチームには資産がない、つまり担保がないので、代表取締役社長の個人的な保証で資金を調達していました。これには心配してくれる人もいましたね、「本当に大丈夫か?」と。でも、私には勝算がありましたね。市役所や商工会議所がバックについていてくれるという安心感がありましたから。

そんなとき、ある東京の企業さんから

買収の申し出をいただきました。チームを丸ごと買いますよと。けれども、私たちはお断りをしました。私たちはあくまで「市民クラブ」ですから。北九州のためのチームですから、特定の企業の意向に左右されるといけないと思ったのです。

そのいきさつが地元の大手企業に伝わり、結果的に胸スポンサーになって頂くことができましたよ。

③については、大々的な集客プロジェクトを行いました。市役所、商工会議所と連携して毎週集客会議をし、2009年の開幕試合に1万人作戦という集客イベントを行いました。平均値を上げるには山場の設定が必要ですからね。結果、平均3,450名と達成しました。開幕試合は本城陸上競技場史上の新記録である9,860名を集めることが出来ました。

④については苦戦しました。前半戦は6位という予想外に低い順位でした。後半戦に入り徐々に地力を発揮して、昇格圏の4位以内に突入しました。

そしてJ2昇格がかかった2009年11月23日にアルテ高崎とのアウェー戦で勝利し、4位になりJ2昇格が確定しました。

これには男泣きしましたね

J2に昇格後もなかなか勝てなかったり、債務超過になってしまったり、紆余曲折がありましたね。ただ、次第にスポンサーが集まったり知名度が上がったりして、資金繰りが安定して財務的な基盤が出来ました。懸案事項であった債務超過も2014年には解消できました。しかし、集客がなかなか伸ばせませんでしたね。私が退任した直接的な原因もそこにありました。2014年に、2017年新スタジアムオープンとJ1昇格という3カ年計画を立案しましたが、結果的には見通しが甘かったと思っています。昨年、2016年にまさかのJ3降格となりました。それは経営の責任です。

ですが、どのチームにも必ず紆余曲折があります。
試練を乗り越えなければ成長はありません。

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新スタジアムについて

横手さん:新スタジアム(ミクニワールドスタジアム)は2009年から構想がありました。というのも、J2昇格の要件として、1万人以上入るスタジアムが必要だったのです。ですが、当時のホームグラウンドの本城陸上競技場は、控室、審判室のレイアウトが条件を満たしていませんでした。また、増築しようにも耐震構造上施工が難しいことが分かりました。

つまり、Jリーグ仕様でないことから
新スタジアムが求められたのです。

ですが、ご承知の通り反対も多くありました。巨額の資金が必要ですから、プロスポーツよりも福祉に回すべきだとか、将来の維持管理費は負担できるかとか。確かに一理あるご意見でした。結果的には地域にはシンボルが必要という判断になり、諮問委員会を経て決定しましたが、予定より2年遅れることになりました。
 
 

これからのギラヴァンツ、これからの北九州

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横手さん:当面の目標は広島カープのような市民球団になることです。広島カープも昭和25年に旗揚げし、優勝したのは昭和50年と25年かかっています。私たちも時間はかかっていいから、地域と共に歩んでいきたいと思っています。
そのために、地元出身の選手を起用するだけでなく、そもそも地元で選手を育成できる体制を作りたいと思っています。

何度も言いますが、
私たちはあくまでも市民クラブなんです。

iko-sumo:たしかに、地元にプロサッカーチームがあることで、確実に興味関心は高まっていると思います。
 
横手さん:わたしたちはサッカースクールも開催しています。会員は現在870名ほどです。他にも、選手が学校を訪問したり、福祉施設で健康教室を開いたり(これがかなり好評!!)、地域のお祭りに協賛したりしています。

活動領域は北九州市と周辺の17市町村で、これらを「フレンドリータウン」と呼んでいますが、トータル人口は128万人にもなるのです。現在J1の「サガン鳥栖」さんのある佐賀県は80万人、鳥栖市に限っては7万人です。われわれには人口的にすごいポテンシャルがあるんですよ!

将来的には、
アジアチャンピオンリーグに出たいですね。

でも、私たちはサッカーだけでなく、スポーツ全般を一緒にやっていきたいと考えています。スポーツを通して青少年の育成や、市民の健康維持にも貢献したいと思っています。実際、すでにバレーボールやバトミントンのギラヴァンツ杯というのもやっていますよ。
 
iko-sumo:バレーボールのギラヴァンツ杯!面白い視点ですね!
 
横手さん:サッカーだけでない、というのはJリーグの方針でもあるんです。地元の選手が日本代表や世界で活躍できるような、スポーツで明るく元気になれるような、ギラヴァンツをキッカケにそんな北九州にしたいんですよね。それがもう、究極の望みですね。

また、芸術・文化とも連携したいと思い、芸術劇場さんとコラボしてダンスを作ったり、マンガミュージアムさんとコラボして似顔絵コンクールを開催したりもしました。

芸術もスポーツも
人に感動を与えるという点では同じ。

 iko-sumo:お話を伺ってると、ギラヴァンツって本当に市民クラブなんだな、って思いますね。地域密着というか。逆にギラヴァンツから市民に希望することはありますか?
 
横手さん:それはもう、常に話題にしてほしい、ですね(笑)
おらが街のギラヴァンツ、
ギラヴァンツといえば北九州、になってほしい!!

残念ながら、関東などでは北九州市はあまり知られてないんですよ。小倉や門司などの地名は知られているけれども、「北九州市」は認知されていない。でも、鹿島も鳥栖も、サッカーチームによって名前が知れ渡ったところがありますよね。

希望と思っていることがあるんですが、今の小学生にアンケートを取った統計で、サッカーに興味がある子は全体の40%いるんですって。野球は14%だそうです。その子たちが成長してスポーツを観戦するとき、やっぱり興味があったり経験したことのあるスポーツを観ると思うんですよ。つまり、将来的なマーケットが広がっているということなんです。しかもサッカーはグローバルですからね。世界一競技人口が多いんですよ!

北九州は長期的に見たらポテンシャルを秘めているんです。よく福岡市と比較されますが、北九州独自の魅力を発信しなくてはならない。

福岡に無いものを北九州は発信したい。

iko-sumo:北九州は昨今、「50歳以上が住み替えたい街」ナンバーワンにもなりましたね。世間的にも注目が高まっていますし、潮目が変わってきている感じがありますよね。
 
横手さん:「50歳以上が住み替えたい街」ナンバーワンになったことは嬉しいですね。けど、これからは若い人が住みたい街ナンバーワンにもなりたいですね。

本当に北九州を楽しい街にしたいですね!

みんなでギラヴァンツ北九州を応援しよう!

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