就職氷河期世代は、その少年期をバブル時代で過ごしました
エンタメが多岐に渡り、音楽やアニメなどのサブカル?の多様に花開いた時代でもありました
当時、権威あるアニメと言えばスタジオジブリが隆盛し始めていたころではありましたが、よくわからないTV業界のパワーバランスから浮かび上がってきたジブリ系列ではないアニメ作品があり、九州の田舎でも知り得た情報によると「雲のように風のように」という作品が発表された頃でした。
なんとなく、旧日本アニメーションをベースとした柔らかなタッチのキャラクターと作画と、中国の後宮を舞台にした世界観が、当時中学生で知的好奇心に目覚め、三国志を始めとした歴史に興味を持ち始めた僕にとって、同じ系列にありつつ、後宮の女性目線を主題にしたテーマが画期的に感じられました。
佐野量子さんの歌声が醸し出す雰囲気の清涼感も相まって、後宮に生きる型にはまりたくない少女を主人公にしたそのストーリーは、同世代だった中学生男子にとってはいろいろな面で刺激的であり、今も印象深く心に残る作品であることが、2023年の今日、40後半のオジサンとなった僕の筆を走らせている原動力でもあります。
スタジオジブリの作品ほどの爆発的なヒットには至らなかったかもしれませんが、今日のこの訃報に対して様々なツイートがなされていることに、ある意味喜びと、率直に残念な気持ちが混在している今の自分がいます。
代表作「後宮小説」「墨攻」にある、物質的には現代と比べるべくもない時代にありながら、生き生きと生命を全うしようとする、しかも年端も行かない少女たちの姿に、思春期の僕が受けた影響は大きなものだったなと、今日の訃報を受けて思った次第です。
最近の僕と言えば、COTEN RADIOの影響から、もともと人生観の根底にあった歴史への憧憬と、櫻井敦司さん、HEATHさんといったロックレジェンド達の度重なる訃報を受け、自分の年齢も踏まえて、大きな刺激を受けている最中でした。そんな中の酒見先生の訃報は、さらに今の僕の「これからどう生きるか?」を大きく前向きにプッシュしてくれるものと思います。
最近Amazon Primeでも高評価されている「薬屋のひとりごと」を楽しみながら見ていますが、どこか「後宮小説」の銀河を重ねながら見ていたここ数日でしたので、あまりにタイムリー過ぎて、この人生のこのタイミングで、かつて思春期に大いなる影響を与えていただいた文豪に、改めて深い哀悼の意を表します。酒見先生、本当にありがとうございました。